マイコプラズマ肺炎について

冬になると、ちょっと気になるのがマイコプラズマ肺炎です。調子が悪くて風邪かなぁ~と思って医療機関で受診してみると、このマイコプラズマ肺炎だったりすると、まさか、自分がこんな病気になってるだなんて!なんて思ったりします。そうならないためにも、マイコプラズマ肺炎がどういったものなのか、ここでお話しておきたいと思います。

マイコプラズマ肺炎について、今回教えてくださるのは、大和高田市立病院小児科部長の清益功浩(きよます・たかひろ)さんです。

マイコプラズマ肺炎とは?

微熱から39度以上ンお高熱、喉の痛み、鼻水、鼻づまり、咳、痰のからむ咳がある場合、呼吸器感染症の可能性があります。幼児は比較的軽症ですが、成人の症状が重くなる場合、この「マイコプラズマ肺炎」が考えられます。

マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマという微生物による肺炎です。細菌よりも小さく、ウイルスより大きいです。そして、細菌にもウイルスにもない性質をもっており、栄養があれば、人の細胞外でも増えていきます。特に気管支から肺の中で増えていきます。

マイコプラズマには、細胞でいえば外壁にあたる「膜」のような壁がありません。そのため、抗菌薬で代表的なペニシリンやセフェム系といった、細胞膜のような壁を壊すための薬が効果ありません。

マイコプラズマ肺炎は、どのような病気でしょうか?

主に、呼吸器系に感染しますので、上気道炎、咽頭炎、気管支炎、肺炎になります。肺でマイコプラズマが増殖するため、肺炎を起こしやすくなります。発熱、咳、鼻水、鼻づまり、喘鳴などの症状がみられます。

合併症を起こせば、気管支喘息がある人だと、喘息発作を引き起こします。時に、脳炎や脳症、下痢や嘔吐などの消化器症状、肝腫大、肝機能異常などの肝炎、じんましん、多型滲出性紅斑などの発疹、心筋炎、赤血球が壊れる溶血性貧血などを起こすことがあります。

感染から発症までの潜伏期間は1~3週間くらいです。秋から冬にかけて流行しやすいです。感染経路は、痰や唾液、咳で人に移る飛沫感染です。

マイコプラズマによる肺炎は、マイコプラズマに対する免疫反応の結果として起こります。そのため、免疫機能が確立している3歳以降で肺炎になりやすくなります。発症年齢は、8~9歳がピークとなってます。主に、学校や会社など、人が集まっている場所で感染が拡がってしまいます。大人の場合、何度もかかることで、多少の抵抗力がついてきますが、免疫を長く維持しにくいのが特徴で、何年かごとに流行を繰り返していきます。

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検査方法は?

血液検査では、寒冷凝集反応が陽性であったり、白血球についても炎症を示すCRPが正常または軽度上昇しているにすぎません。

  •  マイコプラズマ肺炎に対する抗体検査があり、迅速検査では、正確性があまり良くないので、正確に診断するために、急性期と回復期を比較して、抗体が上昇していることを確認します。
  •  痰の培養検査もありますが、1週間以上かかります。
  •  遺伝子を増やして診断する遺伝子検査があります。しかし、実施できる施設が限られており、一般的に検査はできませんが、LAMP法という遺伝子検査は、保険で検査が可能です。設備がない場合は、検査会社で検査が可能です。
  •  喉の奥をしっかりこすり、マイコプラズマ肺炎の菌の成分を検査する迅速検査もあります。結果はその日に判明します。血液の迅速検査より正確ですが、感度が70%程度です。
  •  マイコプラズマは肺炎を起こしますので、胸部X線で診断できます。しかし、胸部X線検査だけでは、マイコプラズマが原因の肺炎かどうかを確定することはできません。
  •  いづれにしても、医師による総合的診断が必要となります。

治療法は?

マイコプラズマ肺炎に効果のある抗菌薬を使用します。マクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系の抗菌薬となります。これらの抗菌薬は、年齢や普段服用している薬、マクロライド系抗菌薬耐性のマイコプラズマの可能性などを考慮して、選択されます。

 

予防法は?

マイコプラズマ肺炎には流行の波がありますので、今現在、日本で流行しているかどうかを知ることが大切です。予防法は、

〇 しっかり手洗いする

〇 人混みを避ける

〇 マスクをする

〇 帰宅時にはうがいをする

〇 屋外と屋内で衣服を着替える

以上です。

成人は、症状が重くなる場合がありますので、特に注意してください。

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